ランス・アームストロング ただマイヨジョーヌのためでなく [本]
「It’s Not About the Bike」 ランス・アームストロング著 講談社 2000年8月発行
日本語訳「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」
ランス・アームストロングは、地上で最も過酷なスポーツイベントと考えられている自転車レースの最高峰ツール・ド・フランス(4000キロ 3週間に渡り、2000メートル級の山を登り100km/hを超すスピードで下る、街中も石畳の上も走る)で優勝し、「偉大なアメリカ人」と呼ばれるテキサス生まれである。
ツール・ド・フランス総合優勝2連覇を成し遂げた直後に日本で発行された本である。
著者紹介(抜粋)
病気を克服して復活し、ツール・ド・フランスで優勝したとは聞いていたが、まさかこれほどの病気(癌)から再起したとは知らなかった。
本の帯には 「僕の人生は長くつらい上り坂を上るためにある」
人生の絶頂にあった超一流自転車選手を襲った悲劇。発見された睾丸癌は肺と脳にも転移し、彼の命を脅かした。身を灼かれるような苦しい闘病生活の果てに、彼の生殖機能は失われ、鍛え上げられた筋肉は消え去った。
しかし、挫折と喪失感に満ちた迷える日々を超え、彼は再び走り始める。
23日間、4000キロにわたる地上で最も過酷なスポーツイベント、ツール・ド・フランス優勝を目指して・・・・・・。
「断言していい。 癌は僕の人生に起こった最良のことだ」
癌を乗り越えることができた人だから言える言葉だ。
内容は、
著者が本の最初で、「ツール・ド・フランスは、この本の話の中のほんの一部にすぎない。この本の中には、言葉にするにはあまりにつらいこともあるし、また、気楽に読めないような話もある。 最初にお願いするのだが、まず英雄とか奇跡といった考えは脇に置いておいてほしい」 と書いている。
大半が、病気との闘いの記録、そして家族・人との対話、そして復活劇。
ツール・ド・フランスについても、数十ページに渡りレースへの準備・トレーニング・レース中の心理状態・レース運び・自己記録について書かれている。 この章が一番おもしろかった。
前半の病気との闘いの後に、後半のツール・ド・フランスについて読むと、やはり奇跡を起こした英雄であり、超人である。
恵まれた体、それ以上に強い精神力、並外れたトレーニング量により成し遂げられた優勝であることがよくわかる。
このことは、1999年~2005年ツール・ド・フランス総合優勝7連覇という偉業が物語っている。
2005年優勝後引退したが、2009年現役復帰し総合3位に入る。
本書は、初めての著書で全米ベストセラーとなった。
全編にわたり、すごく読みやすい印象があった。
日本語訳:安次嶺佳子さんの翻訳が良いのかもしれません。
自転車好きでなくても、十分に読み応えのある本だと思う。
なお、アーム・ストロングの7連覇の記録については、
『ツールドフランス歴代優勝者名鑑』 というホームページで見ることができる。
http://tourdefrance.natury.org/116_1.html
↓amazon (1785円)
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